小説メモ

古今東西、読んだ本についてのメモ

『レンブラントの帽子』 マラマッド

 

f:id:boookboook:20170807030420j:plain

レンブラントの帽子

著者:バーナード・マラマッド

訳者:小島信夫/浜本武雄/井上謙治

発行所:夏葉社

2013年2月10日 発行

 

 

マラマッドが好きだ。とても繊細で優しく物哀しい文章を書く人。買ったときすでに3刷にもなってて嬉しい。

 

彼の作品では『悼む人たち』という短編が印象に残っている。年金生活の老人が家賃を払わなくてだったか払えなくてだったかして、大家に追い出される話。傲慢な老人が弱る姿がなんとも淋しい気持ちにさせる。この短編集には入っていないけれど(『喋る馬』に収録)。

 

表題作の『レンブラントの帽子』は心理描写、動きの描写が精緻で驚かされる。本書に収録されている他の2編もしっとりした空気感で読みやすくて、それでいて凄いところに到達させてくれる。どんな人にも勧めたい作品です。