小説メモ

古今東西、読んだ本についてのメモ

『競売ナンバー49の叫び』 ピンチョン

 

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競売ナンバー49の叫び

著者トマス・ピンチョン

訳者:佐藤良明

発行所:新潮社

2011年7月30日 発行

 

 

 

表紙が恰好よくて思わず買ってしまったピンチョン。

すごいすごいとホーボーから聞かされていたけど、噂にたがわない壮大さがあった。どこにいるのか判らなくなる。

 

啓示に啓示に啓示。

啓示につぐ啓示が迷子にさせてくる。どの標識が正しいのか。

 

チープではちゃめちゃなコントから作られた場面が、うさんくさい示唆によって次から次へと移り変わっていく。

 

そうこうしている間に、どこにいるのか何に向かっているのか判らなくなっている。そもそも最初から何もかも如何わしい。

 

確かじゃないスタート地点からじゃ、いくら指示された方向に線を引いてってもゴールにたどり着ける訳がない。そんな最後まで迷子になる物語。

 

何が真実なのかとか何の話なのかとかは結局解らないまま終わるのに、それぞれの場面や小話がとても印象的で愉しい。

 

カリフォルニアという森をぐるぐる彷徨い歩ってるみたい。