『巨匠とマルガリータ』 ブルガーコフ
著者:ミハイル・ブルガーコフ
訳者:水野忠夫
発行所:河出書房新社
2008年4月30日 発行
ふ。と池澤夏樹の世界文学全集を読もうと思い立ち、手始めに最も人気がある(らしい)この小説を読んでみた。
ぼくがこの作品を選んだ理由 池澤夏樹
時として小説は巨大な建築である。これがその典型。奇怪な事件や魔術師やキリストの死の事情などの絵柄が重なる先に、ソ連という壮大な錯誤の構築物が見えてくる。この話の中のソ連はもちろん今の日本であり、アメリカであり、世界全体だ。
うーん、よくわからない。
本編を読んだらなんとなくわかったけど、とにかくよく解らない話。いや、判らない話。
いきなり湖のほとりで怪しげな人(仮)に絡まれたかと思いきや急にキリストの処刑の場面になるし、主人公かと思われる巨匠もマルガリータもなかなか姿を現さない。
でも、そもそも小説を読むときにその小説が何を言いたいかなんて考える必要なんてないし、どんどん場面転換していく派手でコミカルなショーが単純に面白おかしくて、壮大で度肝を抜かれる。
物語の中心は巨匠とマルガリータと悪魔とその手下(大きい黒猫含む)と文壇とか劇場とかの偉そうな人たち。
そしてマルガリータのために?マルガリータの巨匠のために?、悪魔たちが偉そうな人たちを爽快にビビらせていく。
あとは珍しくないけど、メタフィクションにもなっててそうゆうところでも楽しませてくれる、とにかく印象に残る場面の多い小説でした。
読んでて思いついた作品のお勧め
この作品も壮大ではちゃめちゃ。こんな書き方もできるのか、と驚かされる。ブエンディア一族の盛衰のお話。
こちらも壮大なお話です。
池澤先輩が関連して紹介してた作品
ラーゲリと呼ばれる強制収容所にいるイワンのある一日を書いた話。-30度の屋外で働かされる厳しい環境(巧く立ち回れないと死ぬ)でも逞しく、幸せすら感じながら生きていく模様が描かれてる。短いし色んな人出てくるし文化も独特で面白い。